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手織り布とすず竹のバッグ はじまり

蕎麦好きで、20代の頃から老舗の蕎麦屋にふらりと入ることに憧れていました。そしてずるっと音を立てても品のある大人になるぞと、お休みの日に勇気を出して、一人で暖簾をくぐっていました。お蕎麦の蕎麦ザルはたいていどこも同じです。だからその蕎麦ザルの編み方が河口湖特有のものだと知ったのは、京都のお取引先へ伺った時でした。すず竹というのが蕎麦ざるの素材です。その蕎麦ざるが江戸時代から続く手仕事であり、そのすず竹が富士山2号目付近で自生していたものとどれだけの方がご存じでしょう。



すず竹は直径5mmほどの笹です。竹と呼びますが稲科の笹です。

すず竹細工は岩手の鳥越が有名ですが、河口湖畔にもその歴史があり、古くは慶長15年(1610年)富士山の麓、浅間神社へ籠を奉納した記録が残っています。そして今なおその伝統は受け継がれています。今回、そのすず竹細工と共作でバッグを制作し無事完成しましたので、その経緯をこちらへ綴って参ります。





富士山の冠雪もだいぶ小さくなり、7月の山開きへ向けて話題に登ることが増えている。ただ、今でも5合目は賑わっているし河口湖周辺は国際色豊かで人も車も多くそちら方面へ出かける時は日時を確認してからでないと時間のロスが増えてしまう。河口湖町の勝山のスズ竹とコラボをしようと思いはじめてスズ竹伝統工芸センターを訪れたのは約1年前、どのような方達かもわからず緊張と少しの不安を抱いていた。ここ甲府盆地のあたりは国中といい、富士五湖地方のことを郡内と呼ぶ。呼び名が違うようにそれぞれ文化が違う。国中に居を構える自分は郡内は閉鎖的だという先入観を抱いていたので、その文化にお邪魔して大丈夫かという気持ちがあった。岩手の鳥越で制作されている橋本晶子さんに相談して、知り合いの方を紹介していただき、「よし!」という気持ちでコンタクトをとった。



「こんにちは」邪魔をしないように、かつ明るく入っていったそこは、畳20畳いやそれ以上ある工房で穏やかに各々のペースで黙々と手を動かす職人が並ぶ光景が広がる。テレビでよく見た手仕事の工房そのものの雰囲気で、まさに伝統工芸が作られている所だ。ワクワクしながら上がらせてもらった。 



「もう、新規は受け付けてないんだよ」と笑顔で優しくではあるがまずは断られる。「そうですよね。毎年採れるすず竹も決まってますし、皆さんご注文もありお忙しいですね。だから無理は言いたくないのです。待ちます。こういうの作りたいって思うときに一緒にできたらと思って」とサンプルで制作したバッグをお見せした。

「これ、いいね」「ありがとうございます」「ちょっと見て、どうこれ」と風向きが変わる。すず竹に合う素材、糸、織目、厚さ、模様などのバランス、試行錯誤して織りあげた布と形、反応がいいことに安堵した。「富士山二号目のすず竹と笛吹市の和綿のバッグ、今まですず竹のことを知らなかった方へ興味を持っていただくことにもつながると思います」郡内は絹織物の産地なのでシルクを使うという選択肢もあった。ただこのバッグは全て植物で仕上げたほうが調和がとれる。そこで大麻(ヘンプ)、亜麻(リネン)、和綿で織りあげた。

「せっかくここまで来てもらったんだからちょっと協力してやって」とセンター長が声をかけたところ「これだったらできるかも・・・」と手をあげてくれたのがKさん、ここからKさんとの打ち合わせを何回か重ねていった。



続きはまた






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